
WordPressサイトのバックアップ・復元・移行を行うプラグイン「Backuply – Backup, Restore, Migrate and Clone」において、セキュリティ上の問題が確認されました。影響を受けるのは、バージョン 1.5.8 までのすべてのバージョンです。
本脆弱性を悪用された場合、サイトに登録済みの低権限ユーザー(購読者レベル)によって、管理者権限を奪われる可能性があります。
対策として、バージョン 1.5.9 以降への更新を推奨します。
脆弱性詳細
本脆弱性は、バックアップからデータベースを復元(リストア)する処理に存在します。
攻撃者が自分のプロフィールに書き込んだ文字列が、管理者による復元の際に、データベースへの命令として実行されてしまいます。
想定される被害
攻撃が成功した場合、以下のような被害が想定されます。
- サイト設定の書き換えによる管理者権限の奪取
- ユーザー登録の可否や、新規ユーザーに与える権限などのサイト設定を書き換えられる可能性があります。
- その結果、攻撃者が新たに登録したアカウントに管理者権限が与えられ、サイトを乗っ取られるおそれがあります。
※ 命令の実行結果は攻撃者に返らないため、主な被害はデータの書き換えと、それによる権限の奪取です。
被害発生の条件
以下の条件がそろった場合に、被害が発生する可能性があります。
- Backuply 1.5.8 以下を利用している
- サイトに、プロフィールを編集できるアカウント(購読者レベル以上)を持つ第三者がいる
(ユーザー登録を一般に受け付けているサイトでは、誰でもこの条件を満たせます) - 攻撃用の文字列が書き込まれた後に作成したバックアップから、管理者がデータベースを復元する
なお、復元を行わない限り、命令は実行されません。
技術的な詳細
本来の動作
- Backuply は、データベースの内容を SQL 文(データベースへの命令文)の形でバックアップファイルに書き出し、復元時にはその命令を1つずつ実行して元に戻します。
- 復元の途中で、元のサイトのテーブル名の先頭部分(接頭辞。初期設定では「
wp_」)を、命令文の中から読み取ります。読み取った接頭辞は、プラグイン自身のバージョン情報を更新する命令の組み立てに使われます。
問題点:接頭辞を読み取る処理の確認不足
- 接頭辞を読み取る処理が、テーブルを作成する命令そのものだけでなく、データとして保存された文字列の中にある「テーブル作成命令に似た文字列」にも反応していました。
- さらに、読み取る文字の種類を制限していなかったため、接頭辞の代わりに任意の命令文を取り出せる状態でした。
- 取り出した文字列は、確認されないまま更新命令に組み込まれ、実行されていました(いわゆる SQL インジェクション)。
- バックアップ時には文字列が正しくデータとして書き出されますが、問題が表に出るのは後の復元時です。このように、保存した値が後から別の処理で悪用されるものを「二次 SQL インジェクション」と呼びます。
攻撃の大まかな流れ
- 攻撃者が、自分のアカウントのプロフィール情報(自己紹介欄)に細工した文字列を書き込む
- 管理者がバックアップを作成し、その後そのバックアップからデータベースを復元する
- 復元の途中で細工した文字列が命令として実行され、ユーザー登録に関する設定が書き換えられる
- 攻撃者が新しいアカウントを登録し、管理者権限を得る
対策版での修正
バージョン 1.5.9 では、次の修正が行われています。
- 接頭辞を読み取る対象を、命令文の先頭にあるテーブル作成命令だけに限定
- 読み取る接頭辞を、英数字とアンダースコアだけに制限
脆弱性の種類
推奨対応事項
該当バージョンのプラグインをご利用の場合、以下の対応を強く推奨します。
- プラグインの更新
- 速やかに、プラグインを対策バージョン(1.5.9 以降)へ更新してください。
- 更新するまでは、データベースの復元を行わないでください。更新後であれば、過去のバックアップから復元しても、本脆弱性による命令は実行されません。
- 被害確認
- Backuply 1.5.8 以下でデータベースの復元を行ったことがなければ、本脆弱性による被害は発生していません。復元を行ったことがある場合は、以下を確認してください。
- WordPress 管理画面の「設定」→「一般」で、「メンバーシップ」の「だれでもユーザー登録ができるようにする」と「新規ユーザーのデフォルト権限グループ」(「管理者」になっていないか)が、意図した設定になっているか確認してください。
- 「ユーザー」→「ユーザー一覧」で権限を「管理者」に絞り込み、身に覚えのない管理者アカウントがないか確認してください。
- 各ユーザーのプロフィール情報(自己紹介欄)に、「
CREATE TABLE」や「backuply_version」といった文字列が含まれていないか確認してください。該当する場合は、そのユーザーが攻撃用の文字列を書き込んだ可能性があります。
- セキュリティ対策の強化
- ユーザー登録を受け付ける必要がない場合は、「だれでもユーザー登録ができるようにする」を無効にしておくことで、攻撃に使われるアカウントを作られにくくなります。
- WAF(Web Application Firewall:不正な通信を検知・遮断する仕組み)を導入していれば、プロフィール更新時に送られる不審な文字列の遮断に有効です。ただし、WAFですべての攻撃を確実に防げるわけではないため、根本的な対策となるプラグインの更新を優先してください。
⇒ 不審な設定変更やアカウントが確認された場合は、WordPressの専門家などへの相談を推奨します。
影響を受けるバージョン
Backuply – Backup, Restore, Migrate and Clone 1.5.8 までのバージョン
脆弱性情報 (CVE-ID)
CVE-2026-93953
(公開日 2026年10月16日 更新日 2026年10月16日)
脆弱性の深刻度 (CVSS v3)
基本値: 8.0 (重要) [Wordfence]
※ 「被害発生の条件」に挙げた、管理者による復元が行われた場合が対象です。
脆弱性脅威度(EPSS)
CVE-2026-93953 悪用確率 0.34% (上位74%) 2026年10月16日時点
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本記事の作成について
本記事は、対象プラグインの公開ソースコードおよびバージョン間の差分を解析し、その結果に基づいて作成しています。
解析および文章作成の過程では生成AIを利用し、内容は当社の担当者が確認したうえで公開しています。



