WordPressサイトを多言語化するプラグイン「TranslatePress – Translate Multilingual sites with AI Translation」において、セキュリティ上の問題が確認されました。影響を受けるのは、バージョン 3.2.6 までのすべてのバージョンです。
本脆弱性を悪用された場合、悪意ある第三者が投稿したコメントを通じて、そのコメントが表示されるページを閲覧した利用者のブラウザ上で、不正なスクリプトが実行される可能性があります。
対策として、バージョン 3.3 以降への更新を推奨します。
脆弱性詳細
本脆弱性は、コメントとして投稿された内容を含むページを表示する処理に存在します。
攻撃者はログインしていない状態でもコメント欄から細工した内容を投稿でき、その内容はデータベースに保存されます。そのため、該当ページを開いた訪問者や管理者のブラウザ上で、サイト運営者が意図しないスクリプトが動作する可能性がある状況となっていました。
想定される被害
この脆弱性が悪用された場合、以下のような被害が想定されます。
ページ閲覧者への影響(蓄積型XSS)
- 攻撃者が投稿したコメント内のリンクが、表示上の文字列とは異なる遷移先に置き換わる
- 細工された内容はデータベースに保存されるため、そのページが表示されるたびに繰り返し影響が生じる
- 管理者がログイン中に該当ページを閲覧した場合、管理者のブラウザ上でスクリプトが動作し、セッション情報(Cookie)の窃取などにつながる可能性
被害発生の条件
以下の条件が重なった場合に、被害が発生する可能性があります。
- サイトがコメントの投稿を受け付けている
- 細工されたコメントが公開されている
- 公開されたコメントを含むページを、訪問者または管理者が閲覧する
コメントを承認制にしている場合でも、承認して公開した時点で影響が生じるため、承認制だけで防ぐことはできません。一方、コメント機能を利用していないサイトでは、この経路による攻撃は成立しません。
技術的な詳細
TranslatePressは、翻訳する文字列を特定するために、ページの内容を「目印(マーカー)」で囲んだうえで処理を行い、ページを表示する直前にその目印を取り除いています。
本脆弱性は、この目印を取り除く範囲の指定が緩やかだった点が原因です。開始の目印から終了の目印までの間にある文字を、種類を問わずすべて削除する仕組みになっていたため、離れた位置に2つの目印が置かれた場合、その間にあったHTMLの区切り記号までもがまとめて削除されていました。
さらに、この目印はURLで使われる形式(英数字と記号のみ)で書くこともできます。この形式には、WordPressがコメントを保存する際に危険なタグや属性を取り除く仕組み(サニタイズ処理)が問題視する文字が含まれないため、チェックを通過してそのまま保存されていました。
攻撃の流れを整理すると、以下のようになります。
- 攻撃者が、目印を含む文字列をコメント欄から投稿する(この時点では無害な文字列として保存される)
- コメントが公開され、そのページが表示される
- 目印を取り除く処理が働き、削除された箇所を挟んでHTMLの断片が結合される
- 結合によって組み上がった内容が、閲覧者のブラウザで解釈される
つまり、保存時のチェックを通過した後に内容が組み替わるため、チェックをすり抜けてしまう状態でした。
対策版(3.3)では、目印を取り除く際に削除される範囲が、引用符などのHTMLの区切り記号を越えないよう限定されました。
脆弱性の種類
推奨対応事項
該当バージョンのプラグインをご利用の場合、以下の対応を強く推奨します。
- プラグインの更新
- 速やかに、プラグインを対策バージョン(3.3 以降)へ更新してください。
- 被害確認(更新後に実施してください)
- 更新の適用後、WordPress管理画面の「コメント」を開き、
検索欄に「trpst」と入力して検索してください。
通常のコメントにこの文字列が含まれることはないため、ヒットしたコメントは細工されたものである可能性があります。 - 「承認待ち」「ゴミ箱」「スパム」の各タブも同様に確認してください。
承認待ちのまま残っているコメントは、承認すると影響が生じます。 - 該当するコメントが見つかった場合は、承認せずに削除してください。
- ※更新前に該当コメントが表示されているページを閲覧すると、その時点で影響を受ける可能性があります。
確認は必ず更新後に行ってください。
- 更新の適用後、WordPress管理画面の「コメント」を開き、
- 今後の予防策
- コメント機能を利用していない場合は、WordPressの設定でコメントの受け付けを停止しておくことで、この経路による影響を避けられます。
- WAF(Web Application Firewall:不正な通信を検知・遮断する仕組み)を導入している場合でも、本脆弱性で投稿される文字列は英数字と記号のみで構成され、スクリプトを含む一般的な攻撃パターンとは異なるため、検知されない可能性があります。
根本的な対策となるプラグインの更新を優先してください。
⇒不審なコメントが確認された場合は、WordPressの専門家などへの相談を推奨します。
影響を受けるバージョン
TranslatePress – Translate Multilingual sites with AI Translation 3.2.6 までのバージョン
脆弱性情報 (CVE-ID)
CVE-2026-18510
(公開日 2026年8月6日 更新日 2026年8月6日)
脆弱性の深刻度 (CVSS v3)
基本値: 7.2 (重大) [Wordfence]
脆弱性脅威度(EPSS)
CVE-2026-18510 悪用確率 0.24% (上位84%) 2026年8月12日時点
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