
WordPressでSSL設定や二要素認証、ログイン保護などの機能を提供するプラグイン「Really Simple Security」(旧名:Really Simple SSL)において、複数のセキュリティ上の問題が確認されました。影響を受けるのは、バージョン 9.8.0 までのすべてのバージョンです。
悪用された場合、サイトのサーバーに攻撃者が用意したプログラムが配置される、または二要素認証を設定した利用者がログインを完了できなくなる可能性があります。
対策として、バージョン 9.8.1 以降への更新を推奨します。
脆弱性詳細
今回の対象は、修正時期の異なる以下の3点です。いずれも 9.8.1 で解消されています。
(1) 任意コード実行(CVE-2026-81766 / 9.8.0 で修正)
Pro版を導入するための、プラグイン内のインストール機能に存在します。影響を受けるのは、このプラグインの管理権限を持つユーザーです。この権限は、プラグインを有効化した時点では管理者にのみ与えられます。そのため標準の設定では、もともとプラグインを追加できる管理者しか該当しません。問題になるのは、この管理権限を管理者以外のロールに与えている場合です。本来プラグインを追加できないはずのユーザーが、サーバー上に任意のプログラムを配置できる状態になります。
(2) ログイン妨害(CVE-2026-84775 / 9.8.1 で修正)
二要素認証の手続きを処理するAPI(プログラム同士がやり取りするための入口)に存在します。影響を受けるのは、二要素認証を有効にしている利用者です。攻撃する側は、WordPressにログインしている必要がありません。
(3) 二要素認証に関するその他の修正(9.8.1 で修正)
二要素認証を有効にしている利用者が対象です。パスワードを知る第三者に対して、二要素認証が想定どおりに働かない場合がありました。
想定される被害
この脆弱性が悪用された場合、以下のような被害が想定されます。
サーバー上への不正なプログラムの配置(CVE-2026-81766)
攻撃者が指定したファイルが、プラグインとしてサイトに取り込まれます。配置されたファイルはサーバー上で動作するプログラムとして扱われるため、サイト内のデータの読み取りや書き換えなど、サーバー上で行える操作が可能になります。
二要素認証を設定した利用者のログインが完了しない(CVE-2026-84775)
ログイン画面でパスワードを入力した後、確認コードを入力しても「Security nonce invalid or expired.(セキュリティ用の確認値が無効、または期限切れです)」といった表示が出て、ログイン画面に戻されます。繰り返し行われた場合、対象の利用者が管理画面に入れない状態が続く可能性があります。
サイトの表示自体や、二要素認証を使っていない利用者のログインには影響しません。
二要素認証が回避される(その他の修正)
パスワードを知る第三者が、二要素認証の確認を経ずにログインできる場合がありました。あわせて、利用者本人が確認コードを打ち間違えた際に、設定済みの二要素認証が「未設定」の状態に戻ってしまう動作も修正されています。
技術的な詳細
任意コード実行(CVE-2026-81766)
原因は次の2点です。
- 取得元の指定が、ブラウザを経由して受け渡される作りだった
Pro版のインストールは複数の手順に分かれており、ライセンス確認で得たファイルの取得元をいったんブラウザへ返し、次の手順でサーバーへ送り返す構成になっていました。この経路で、取得元を別のものに差し替えられる状態でした。送り返された値については、URLとして不正な文字を取り除く処理だけが行われており、接続先を制限する確認はありませんでした。 - プラグインを追加する権限が確認されていなかった
インストールを実行する処理では、このプラグイン独自の管理権限だけを確認しており、WordPress標準の「プラグインのインストール」権限は確認していませんでした。同じファイル内の別の処理では標準権限の確認が行われており、インストール処理だけが漏れていた形です。
対策版では、取得元をブラウザに渡す手順そのものが廃止され、サーバー側で取得した値を直接使う方式に変更されました。あわせて、インストールを実行する処理と、インストール前にフォルダを確認する処理の両方に、WordPress標準の権限確認が追加されています。
ログイン妨害(CVE-2026-84775)
二要素認証の手続きでは、パスワード確認を通過した利用者ごとに、一時的な確認用の値(ログイン手続きの途中であることを示す、使い捨ての値)が保存されます。
- 確認に失敗しただけで、利用者の一時的な値を消していた
この値の照合処理は、値が一致しなかった場合にも、保存されている値を削除していました。削除の対象は、リクエストで指定された利用者IDに紐づくものです。そのため、第三者が任意の利用者IDと適当な値を送るだけで、その利用者がログイン手続きの途中で保持している値を消せる状態でした。 - 一部のAPIに回数制限がなかった
この照合処理を呼び出すAPIは複数あり、一部には送信元ごとの回数制限が設けられていましたが、残りには制限がありませんでした。
対策版では、値が一致しなかった場合は削除を行わず、そのまま処理を終えるよう変更されました。削除されるのは、値は正しいものの有効期限を過ぎていた場合に限られます。
二要素認証に関するその他の修正
- 初回設定を完了させるAPIが、設定済みの状態でも動作していた
メール方式の二要素認証には、初回設定を完了させるためのAPIがあります。このAPIは、すでに設定が完了している利用者に対しても処理を行っていました。確認コードが一致しなかった場合に設定状態を「未設定」へ戻す動作を持つため、設定済みの状態が解除される結果になっていました。対策版では、設定がすでに完了している場合は動作しないよう変更されています。 - XML-RPC・REST API 経由のログインで、二要素認証の遮断が働いていなかった
二要素認証を有効にした利用者について、これらの経路でのログインを遮断する処理は用意されていました。しかし、その処理がWordPress本体のパスワード確認より先に動く順序で登録されていたため、判定を行う時点ではログインするユーザーがまだ確定しておらず、遮断が一度も行われていませんでした。対策版では、本体の確認処理より後に動くよう順序が修正されました。あわせて、アプリケーションパスワード(API利用のために個別に発行する専用のパスワード)で認証された場合のみ利用を許可するよう変更されています。
脆弱性の種類
CWE-94 コード生成の不適切な制御(コードインジェクション) [CVE-2026-81766]
CWE-400 リソースの無制限消費 [CVE-2026-84775]
推奨対応事項
該当バージョンのプラグインをご利用の場合、以下の対応を推奨します。
- プラグインの更新
- 速やかに、プラグインを対策バージョン(9.8.1 以降)へ更新してください。
- 権限設定の確認
- ユーザーのロール(役割)を編集する機能やプラグインをお使いの場合、「
manage_security」という権限を管理者以外のロールに与えていないかご確認ください。与えている場合、そのロールの利用者が CVE-2026-81766 の影響を受けます。
- ユーザーのロール(役割)を編集する機能やプラグインをお使いの場合、「
- 被害確認
- 不正なプラグインの配置(CVE-2026-81766)
WordPress管理画面の「プラグイン」一覧を開き、導入した覚えのないプラグインが増えていないかご確認ください。あわせて、Webサーバーのアクセスログをrsp_upgrade_install_pluginで検索してください。該当するのは、Pro版のインストール処理を呼び出すリクエストです。Pro版を導入していないにもかかわらず記録がある場合は、不審なリクエストの可能性があります。このリクエストには取得元の指定がそのまま含まれるため、記録が見つかった場合はdownload_linkに続く値もあわせてご確認ください。値がreally-simple-ssl.com以外を指している場合、本脆弱性が悪用された可能性があります。 - ログイン妨害(CVE-2026-84775)
二要素認証を設定している方が、正しい確認コードを入力しているのにログインできない、セキュリティ上の確認に失敗した旨の表示が出てログイン画面に戻される、という事象が続く場合は、本脆弱性が悪用されている可能性があります。アクセスログをtwo-fa/v2で検索すると、二要素認証の手続きに関するリクエストが確認できます。これらは二要素認証の設定中やログイン中にも記録されますが、誰も設定作業やログインを行っていない時間帯に繰り返し記録されている場合は、不審なリクエストの可能性があります。 - 二要素認証の回避(その他の修正)
アクセスログをxmlrpc.phpで検索してください。XML-RPCを使う機能(外部の投稿アプリや一部の連携サービスなど)を利用していないにもかかわらず記録がある場合は、ログインを試みたリクエストの可能性があります。また、二要素認証を設定していたはずの利用者が、ログイン時に初期設定の画面を表示された場合は、設定が解除された可能性があります。管理画面のプロフィール設定から、現在の設定状況をご確認ください。
- 不正なプラグインの配置(CVE-2026-81766)
- 追加のセキュリティ対策
- XML-RPCを利用していない場合は、無効にすることでログインの経路を減らせます。本プラグインの「Hardening(強化)」設定に「Disable XML-RPC(XML-RPCを無効化)」という項目があります。ただし、XML-RPCを使うプラグインを導入している場合はその機能が動作しなくなるため、設定画面に表示される注意書きをご確認のうえ切り替えてください。
- WAF(Web Application Firewall:不正な通信を検知・遮断する仕組み)を導入している場合、外部からの不審なリクエストの遮断に一定の効果があります。ただし、二要素認証に関するリクエストは正規の手続きと同じAPIに届くため、遮断の設定によっては正規のログイン手続きも止まります。根本的な対策となるプラグインの更新を優先してください。
⇒ 身に覚えのないプラグインや通信の記録が確認された場合は、WordPressの専門家への相談を推奨します。
影響を受けるバージョン
Really Simple Security 9.8.0 までのバージョン
(CVE-2026-81766 は 9.8.0 未満のバージョンが対象です)
脆弱性情報 (CVE-ID)
CVE-2026-81766
(公開日 2026年8月30日 更新日 2026年8月31日)
CVE-2026-84775
(公開日 2026年9月2日 更新日 2026年9月2日)
脆弱性の深刻度 (CVSS v3)
脆弱性脅威度(EPSS)
CVE-2026-81766 悪用確率 0.26% (上位83%) 2026年9月13日時点
CVE-2026-84775 悪用確率 0.24% (上位85%) 2026年9月13日時点
参考
ソフトウェア脆弱性情報の著作権に関する注意事項
This record contains material that is subject to copyright.
Copyright 2012-2026 Defiant Inc.
License: Defiant hereby grants you a perpetual, worldwide, non-exclusive, no-charge, royalty-free, irrevocable copyright license to reproduce, prepare derivative works of, publicly display, publicly perform, sublicense, and distribute this software vulnerability information. Any copy of the software vulnerability information you make for such purposes is authorized provided that you include a hyperlink to this vulnerability record and reproduce Defiant’s copyright designation and this license in any such copy. Read more.
Copyright 1999-2026 The MITRE Corporation
License: CVE Usage: MITRE hereby grants you a perpetual, worldwide, non-exclusive, no-charge, royalty-free, irrevocable copyright license to reproduce, prepare derivative works of, publicly display, publicly perform, sublicense, and distribute Common Vulnerabilities and Exposures (CVE®). Any copy you make for such purposes is authorized provided that you reproduce MITRE’s copyright designation and this license in any such copy. Read more.
「WordPressセキュリティ保守」をご利用のお客様へ

WordPress
Really Simple Security プラグインをご利用中のお客様には、対策バージョンへの更新状況および推奨対応事項について、順次メールにてご案内しております。
本記事の作成について
本記事は、対象プラグインの公開ソースコードおよびバージョン間の差分を解析し、その結果に基づいて作成しています。
解析および文章作成の過程では生成AIを利用し、内容は当社の担当者が確認したうえで公開しています。



