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【調査レポート解説】中小企業サイバーセキュリティ対策実態調査報告 2024

中小企業の皆様に向けて、サイバーセキュリティ対策の必要性とそのビジネス上のメリットを解説します。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施した「2024 年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査」の結果から、ITリテラシーの確保が難しい状況にある中小企業の皆様に向けて、サイバーセキュリティ対策の必要性とそのビジネス上のメリットを解説します。

今回の調査結果は、サイバー攻撃が身近な脅威となっており、もはや「我が社には関係ない」とは言えない現状を明確に示しています。セキュリティ対策を単なるコストではなく、企業の信頼と継続性を守るための「未来への投資」として捉え直すことが急務です。

調査概要

調査名2024年度 中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査
実施機関独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
調査期間2024年10月25日~11月6日
有効回答数4,191件
対象一般企業の経営層及び情報システム/情報セキュリティの担当マネージャ

1.中小企業を取り巻くサイバー攻撃リスクの現状

直近過去 3 期で情報セキュリティ対策に「投資をしていない」と回答した企業は全体の62.6%に上ります。この投資をしない一番の理由として最も多かったのは「必要性を感じていない」で 44.3%でした。

直近過去3期で

投資をしていない企業

投資をしない理由

必要性を感じていない

必要性を感じていない理由として「重要情報を保有していないため」(36.5%)や「他社とのネットワーク接続がないため」(31.6%)を挙げる割合が高い傾向が見られます。

また、中小企業と比較して小規模事業者の 「重要情報を保有していないため」との回答割合多く、事業における情報セキュリティ上のリスクに対する認識が不足している可能性が示唆されます

理由割合
全体小規模企業者中小企業
100名以下
中小企業
100名以上
重要情報を保有していないため36.5%38.4%23.1%12.5%
他社とのネットワーク接続がないため31.6%32.6%23.1%37.5%
事業の継続に大きな影響がないため25.9%26.0%25.4%25.0%
情報セキュリティ対策投資について「必要性を感じていない」と回答した理由(企業規模別) (n=1162)

しかし実際には、調査対象企業の約80%が電子メールを導入し、33%がWebサイトを運用しています。顧客情報、取引先情報、見積書、請求書など、これらは攻撃者にとって価値のある情報であり、自社がサイバー攻撃に遭う可能性を過小評価している懸念があります。

「被害にあっていない」と回答した企業は全体の約 76.7%でしたが、残りの約2割の企業では被害に遭っていると回答してます。

2023年度に発生したサイバー攻撃発生率
コンピュータウイルス感染36.5%
不正アクセス10.0%
ランサムウェア感染 8.3%
2023年度に発生、または疑われたサイバー攻撃(n=4191)
生じた被害発生率
データの破壊35.7%
個人情報の漏えい35.1%
ウィルスメール等の発信21.5%
サイバーインシデントによる影響で生じた被害(n=975)

生じた被害の中には、取引先にまで感染が拡大する(3.2%)回答もありました。これは企業同士の取引関係を通じて広がる“サプライチェーン型攻撃”のリスクを示しています

サイバー攻撃によって生じた被害の平均額は、過去 3 期で約 73 万円に上り、中には最大 1 億円の被害を被った企業もあります。復旧までに要した期間の平均は 5.8 日であり、最大は約1年であり、甚大な被害が発生している実態がうかがえます。

項目平均値最大値
被害総額(円)約 73 万1億円
発生回数(回)1.140
復旧期間(日)5.8360
被害額、発生回数、期間の平均値と最大値

2.取引先への影響

中小企業のセキュリティ対策の不備は、自社内にとどまらず、取引先にまで深刻な影響を及ぼします。

注目すべき点は、サイバー攻撃を経験した企業の約70%が取引先にも影響を与えていることです。

生じた被害発生率
サービスの障害・遅延・停止による逸失利益36.1%
個人顧客への賠償や法人取引への補償負担32.4%
原因調査・復旧に関わる人件費等の経費負担23.2%
裁判、調停等に関わる人件費等の経費負担12.0%
個人顧客や法人取引先に対する信頼失墜10.9%
その他 0.1%
特になし29.7%
自社のサイバーインシデントによる取引先への影響(n=975)

3.取引にも直結するセキュリティ対策

発注元企業から情報セキュリティの要請を受けた経験がある企業は全体の1割強でした。そのうち、要請に基づいて対策を行ったことが「取引につながった大きな要因」と考える企業は4割強にのぼります。

情報セキュリティに関する
要請を受けた経験
割合
はい12.2%
いいえ79.9%
わからない 7.9%
販売先(発注元企業)から情報セキュリティに関する要請を受けた経験(n=4191)
要請された情報セキュリティ対策が
取引につながった大きな要因か
割合
はい42.1%
いいえ36.8%
わからない21.1%
販売先(発注元企業)の要請に応じたことが取引につながった大きな要因か(n=511)

自社から仕入先に対してセキュリティ対策を要請した企業は全体の1割未満でしたが、要請に応じた仕入先は8割強にのぼり、さらに対応が「取引に繋がった大きな要因」と考える企業は7割に上ります。

仕入先(委託・協力企業)に対して
セキュリティ対策の要請
割合
はい8.7%
いいえ81.1%
わからない10.2%
仕入先(委託・協力企業)に対してセキュリティ対策の要請をしたことがあるか(n=4191)
要請した情報セキュリティ対策が
取引につながった大きな要因か
割合
はい69.1%
いいえ20.4%
わからない10.5%
仕入先(委託・協力企業)が要請に応じたことが取引につながらなかった大きな要因か(n=304)
  • 「取引先との信頼関係が高まり、より多くの取引を行うことができている」
  • 「大手企業からの信頼が得られ受注数が増えた」
  • 「顧客情報の漏洩を防げるという安心感を得られた」

これらの結果や声から、セキュリティ対策は単なる防御ではなく、ビジネス機会を生む重要な要素になりつつあります

4.経営者意識と体制の現状

情報セキュリティ対策をさらに向上させるために必要とされることとして、「経営者のサイバーセキュリティリスク意識の向上」が 32.6% で最も高い結果となりました。回答者の 84.6% が経営層(経営者・役員)であることを考えると、経営層自身が自らの意識を高める必要性を認識していることがうかがえます。

また、活用したいサービスとして「経営層向けの手引書」が 28.9%、「経営層への教育」が 22.1% と続いており、経営層がセキュリティ対策に必要な知識や判断材料の不足を不安視している実態が浮かび上がっています。

情報セキュリティ対策を
向上させるために必要と思うこと
割合
経営者のサイバーセキュリティ
リスク意識向上
32.6%
従業員の情報セキュリティ意識向上26.8%
企業内の体制整理17.7%
情報セキュリティ対策を、さらに向上させるために必要と思うこと(n=4191)
活用したい情報セキュリティ対策
に関するサービス
割合
営層向けの手引書28.9%
経営層向けの教育22.1%
業界ごとの情報セキュリティ
ガイドライン
17.2%
活用したい情報セキュリティ対策に関するサービス(n=4191)

一方で、経営層の役割として重要な「ルール化」や「対応計画の整備」については大きな遅れが見られます。サイバーインシデント発生時の対応方法が「決まっていない」との回答は 37.3% にのぼり、緊急時の体制整備や対応手順の整備を「実施していない」と回答した企業も 47.3% に達しています。

つまり、経営層の意識は高まりつつあるものの、実際のルール策定や体制構築といった行動には結びついておらず、多くの企業において「経営層の関与がまだ十分ではない」というギャップが明確になっています。

サイバー攻撃を発見した場合
の対応方法
割合
対応方法は決まっていない37.0%
情報の隔離29.3%
ネットワーク診断24.4%
サイバー攻撃又はその兆候を発見した場合の対応方法(n=4191)
緊急時の体制整備や
対応手順の整備
割合
実施している18.5%
一部実施している21.4%
実施していない47.3%
わからない12.9%
緊急時の体制整備や対応手順を作成するなど準備をしていますか?(n=4191)

5.SECURITY ACTION宣言の実態と課題

SECURITY ACTIONは、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度ですが、その認知度は約10%にとどまり、実際に宣言している企業の割合はわずか約6%という結果になりました。

SECURITY ACTION
認知度

一つ星・二つ星
宣言企業

企業規模が大きくなるほど認知度が上がる傾向が見られ、これは従業員数の増加による認知機会の増加や、サイバーセキュリティ担当部署等の設置が理由として考えられます。

一つ星宣言のきっかけ割合
補助金や助成金の申請要件62.1%
顧客や取引先からの要求44.7%
経営層の意識向上38.5%
サイバー攻撃被害に遭った16.1%
業界標準や法規制の変化16.1%
SECURITY ACTION宣言状況と宣言したきっかけの関係(n=244)
二つ星宣言のきっかけ割合
顧客や取引先からの要求55.4%
経営層の意識向上48.2%
補助金や助成金の申請要件41.0%
サイバー攻撃被害に遭った21.7%
業界標準や法規制の変化15.7%
SECURITY ACTION宣言状況と宣言したきっかけの関係(n=244)

一つ星は基本的な対策項目が中心のため、補助金や助成金の申請をきっかけとした宣言が多い傾向にあります。一方、二つ星は求められる対策項目数も増えることから、サイバーセキュリティ対策の実施による取引先へのアピールや自社への安心感を期待していることが考えられます。

宣言を維持するために必要な要素割合
合計一つ星宣言二つ星宣言
予算の確保56.1%60.9%47.0%
経営層の意識向上55.7%55.3%56.6%
経営層の関与40.2%32.9%54.2%
担当部署の設置・体制の整備26.6%26.1%27.7%
その他0.4%0.6%0.0%
SECURITY ACTION宣言状況と維持に必要な要素の関係(n=244)

SECURITY ACTIONを実施しない理由として最も大きな割合を示したのが「知らなかった」で38.6%となり、認知度の低さが大きな課題であることが明らかになりました。

SECURITY ACTIONを
宣言しない理由
割合
全体小規模企業者中小企業
100名以下
中小企業
100名以上
知らなかった38.6%41.0%32.1%37.7%
必要性が感じられない28.5%32.6%20.1%16.4%
費用対効果が不明確15.9%13.8%20.5%21.3%
情報セキュリティ対策を実施できる人材がいない14.1%10.2%22.4%23.0%
リソース不足14.0%11.1%19.6%22.5%
優先度が低い12.5%10.2%17.8%16.8%
手続きが煩雑 7.9% 6.3%11.3%11.1%
内容が理解できない 5.6% 5.0% 6.7% 7.8%
その他 0.5% 0.6% 0.2% 0.4%
企業規模別のSECURITY ACTIONを実施しない理由(n=3947)

その他の理由として、小規模企業者においてはセキュリティ対策の必要性、それ以外の中小企業では、費用対効果の不明瞭、セキュリティ人材の不足、リソース不足等が挙げられました。

注目すべき事実

SECURITY ACTION宣言をしていない企業のうち、約28%は実際には一つ星の宣言に値するセキュリティ対策を実施していると考えられます。また、約2割は二つ星に求められる対策項目を実施している企業でした。つまり、実質的には対策を行っているにもかかわらず、制度を知らないために宣言していない企業が相当数存在することが明らかになりました。

6.サイバーセキュリティお助け隊サービスの実態

サイバーセキュリティお助け隊サービスは、中小企業向けにワンパッケージでセキュリティ対策を提供するサービスですが、その認知度は約7%にとどまり、実際に導入している企業の割合はわずか約2%という結果になりました。

お助け隊サービス
認知度

サービス
導入企業

企業規模別にみると、中小企業(101名以上)では導入割合が8.8%である一方、小規模企業者では1%未満であり、小規模企業者にはほとんど普及していない実態が明らかになりました。

全体的に補助金・助成金の申請要件が約64%と最も高く、企業業規模にかかわらずサービス導入のきっかけとしています。小規模企業者以外ではでは、顧客や取引先からの要求が50%を超えており、申請要件と同程度のサービス導入のきっかけともなっています。
その一方で、従業員101名以上の企業では、経営層の意識向上が53.8%となっており、経営者の意向が導入の要因ともなっています。

導入のきっかけ割合
全体小規模企業者中小企業
100名以下
中小企業
100名以上
補助金や助成金の申請要件63.7%75.0%57.1%69.2%
顧客や取引先からの要求51.0%35.0%57.1%50.0%
経営層の意識向上42.2%40.0%37.5%53.8%
サイバー攻撃被害に遭った30.4%15.0%32.1%38.5%
業界標準や法規制の変化17.6%10.0%16.1%26.9%
その他 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
企業規模別のサイバーセキュリティお助け隊サービスを導入したきっかけ(n=102)

必要性が感じられないと回答した割合が最も高く、企業規模別でみると、特に小規模企業者の約50%が回答しています。小規模企業者以外では、費用対効果が不明確や優先度が低いといった回答が見られたました。
また、業種別ではどの業種においても、必要性が感じられない、費用対効果の不明瞭が挙げられています。

サービスを導入しない理由割合
全体小規模企業者中小企業
100名以下
中小企業
100名以上
必要性が感じられない45.2%49.1%35.1%32.7%
費用対効果が不明確27.7%24.6%36.2%33.6%
優先度が低い19.8%18.4%21.8%32.7%
自社の規模に見合ったサービスではない16.3%15.9%17.2%18.7%
リソース不足12.1%9.8%17.7%20.6%
手続きが煩雑 9.9% 8.3%14.4%12.1%
サービスレベルが低い 3.6% 3.1% 4.9% 5.6%
IPAホームページの案内が分かりづらい 3.5% 3.2% 3.9% 6.5%
その他 3.5% 3.8% 2.2% 4.7%
企業規模とサイバーセキュリティお助け隊サービスを導入しない理由の関係(n=2334)

一方で、サービスを導入している企業からは高い評価を得ています。

導入してよかった点割合
ワンパッケージでの情報セキュリティ対策56.9%
導入が容易55.9%
緊急時の対応41.2%
コストの削減36.3%
顧客や取引先からの信頼向上17.6%
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を導入して良かった点(n=102)

ワンパッケージでの対策と導入の容易さがそれぞれ約5割と最も多く挙げられており、コストの削減が約3割となっています。これは、サービスの導入により中小企業の人的リソース不足の課題解決やコスト削減による費用対効果の改善につながっていることを示しています。

普及促進への示唆

導入していない理由として「費用対効果が不明確」や「費用対効果が不明確」が挙げられている一方、実際に導入した企業は「導入が容易」「コスト削減」などのメリットを実感しています。これは、サービス内容および導入によって得られる効果が中小企業に十分に理解されていないことを示していることがわかります。

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トラストブレーンでは、中小企業の皆様が抱えるセキュリティ対策の課題を理解し、実態に即したサポートサービスを提供しています。

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